こんにちは☺ 子どものみかたブログです!
今回は、先日11月8日に行われました、第3回こども誰でも通園制度検討会の内容について、考えたいと思います☺ ⇒動画リンク
これまでも、進捗状況や、疑問点などを考えてきましたが、現時点ではどのようになっているのでしょうか?
〈検討会の違和感〉
今回、国が用意した資料のタイトルには、
『こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会における現時点での議論の整理 』
とあります。
それでは早速、内容を確認してみましょう!
資料の目次について
こども家庭庁が用意しました資料の目次を確認して、
国が考えている方向性や優先順位を推測してみましょう☺
大きな項目は3つ、
となっています。
これをみると、まず1番最初に来ていることから、制度の意義を強く訴えて、この制度がいかに重要で、国民に望まれている事業であるかをこども家庭庁は伝えたいようですね。
これは、第2回までと変わらないようにみえます。
ですので、いくら意義があるからといって、子どもの安全や保育士の権利を侵害したりしていいとはならないですよね。
ここがとても重要で、検討会に参加されている方々は、忘れてはいけないポイントでしょう!
2点目は、留意事項について触れられています。
実践には慣らしが必要とか、引継ぎをしっかりするとか、0-2歳を保育したことが無い事業所はどうするのか、などがありますが、その前提が必要です。
子どもが安全で、保育士が休憩や休息を取りながら、活き活きと働ける制度なのかということが問題だと思います。
これらの点について触れられているのか、確認したいと思います。
そして、最後にその他の留意点となっています。
それでは実際に中身をみてみましょう!
Ⅰ 制度の意義等
国は、長年家庭養育を孤独にされているご家庭には、あまり直接的な子育て支援をしてこなかったので、今更意義を言われても、、という感じが私はしますが、もしこの制度の意義について、確認をしておきたい方が居ましたら、資料を確認しておくことをお勧めいたします。
国はこれまで”家族主義”に拘っていたため、なかなか3世代家族の構成員以外の大人を頼ることを良しとしてきませんでしたので、他人の大人である保育士を頼る制度という意味では、とても意義があるかもしれません。
5、保育士にとっての制度の意義という項目では、
・ こども毎に在園時間が異なることを踏まえ、現場の実情に応じた職員体制等のマネジメント、リスク管理、従事者間の情報共有が適切になされることが重要となること
・ こどもを理解するには一定の時間がかかるため、こどもの特性等を把握するアセスメント力が求められること
・ 保育の実施を目的とする保育所等では、こども誰でも通園制度のこどもを預かることで、保育所等に通っているこども達の保育に支障があってはならないという意識も重要であることに留意が必要である。
ということが挙げられています。
あれこれ、保育士として要求されることがありますので、今まで以上に頑張ってください!と言わんばかりですが、それにかかる必要な時間など、物理的に可能なのかについては、何も触れられていません。
これは、これまでの記事にも書きましたが、留意点と言いながら、あれこれ要求はします、でも、人も時間も増やしません!と言われていて、とても不親切で、保育士の気持ちを無視した要求の仕方ではないでしょうか。
この項目は、意義や留意点という言葉にしていますが、事実上、この制度を実施する上での一保育士への指示や命令と考えていいかもしれません。
地域行政に対しては、
① 認可基準を満たしているかどうかの指導監査、勧告、命令等
② 「○○給付」の支給に係る事業所への指定監査、勧告、命令等
過去には、待機児童を減らすため、保育を増やす際に、悪質な民間事業者が入り込んだこともありますが、
人もお金もあまりかけず、地域に監督責任だけ課すというのも、地域によってはとても厳しいでしょうね。
地域行政に監督を厳しくさせるのなら、もっと権限とお金を委譲する必要があるかもしれませんね。
Ⅱ 試行的事業実施の留意事項
試行的事業実施の留意事項としまして、
〇 こども誰でも通園制度については、令和5年度総合経済対策において、「全ての子育て家庭を対象とした支援の強化として、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる「こども誰でも通園制度」(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業について、2023 年度中の開始も可能となるよう支援を行う。」とされている。
とあります。
2023年度って、今年度?!ですよね。
試行的事業とはいえ、そんなに急ぐ理由は、何でしょうか?
また、この制度の根本目的は、児童福祉ではなく、経済対策というところが重要です。
出発地点が違うんですよね、私たち支援者の感覚とは。
なんでもかんでも、経済対策というねらいをやめた方がいいのではないでしょうか。
月10時間の利用の理由としましては、
・ こども誰でも通園制度は、こどもが、初めて地域の身近な場所に出て行き、家族以外の人と関わる機会を得ることができることや、こどもの育ちや生活、遊びなどについて専門的な理解を持つ人がいる場で、同じ年頃のこども達が触れ合い、家庭とは異なる経験や家庭だけでは得られにくい様々な経験を得られるといったことが考えられる。また、乳幼児期においては、安全が守られ、安心して過ごすことができる環境のもと、周囲の人やものとの相互的な関わりを通して、心身の健やかな成長・発達が図られることが重要である。とりわけ、身近な人との応答的な関わりの中で、その後の発達の土台ともなる自己肯定感や他者への信頼感などが育まれていくことが大切である。
こども達が、地域の中で家族以外の人々に見守られながら触れ合ったり一緒に遊んだりする機会を得られにくくなっている今日、こども誰でも通園制度を創設し、こどもに関する専門的な理解を持つ人がいる場において、年齢の近いこども同士が触れ合いや関わりの機会を得ることを、こども一人につき「月 10 時間」、「年 120 時間」保障することは、こどもの慣れた場であること、こどもの育ちに適した人的・物的・空間的環境の中であり、質が確保されていることを前提とすれば、こどもの心身の健やかな成長・発達に資する豊かな経験をもたらすことにつながることが期待される点で、大きな意義があること。
・ 「月 10 時間」は、試行的事業の補助基準上の上限であるものの、試行的事業が本格実施を見据えた形で実施されるものであることから、こども誰でも通園制度の本格実施を見据えながら設定する必要があり、都市部を含め全国の自治体において提供体制を確保する必要があること。
・ 「月 10 時間」は、1日中利用するとすれば月1回、1日2時間利用するとすれば毎週利用できる、というイメージとなる。こうした利用は、慣れるのに時間がかかるこどもの場合にどのように対応すべきか、という点に十分に配慮すれば(後述)、前述のとおり、こどもにとっては、毎月一定時間、地域に出て行って家族以外の人と関わる機会が得られ、専門的な理解を持つ人がいる場で同じ年頃のこども達が触れ合いながら家庭では得られない様々な経験ができるといった点により、十分に効果が期待されること。
・ 現在の一時預かり事業は、年間の利用日数は平均で3日程度(月1~2時間程度に相当。年間延べ利用人数(令和元年度約 521 万人)を0~2歳で保育所等に通っていないこどもの数(令和元年度 182 万人)で単純に割って得た日数は、2.86 日)の利用であり、就労などで長時間利用している人もいることを考慮すると、「月 10 時間」は、一時預かり事業よりも相当程度多く利用できることになること。
という点がある。
ものすごく無理のある文章になっていないでしょうか?!
私は、赤文字の部分が専門性があり、とても重要だと考えられると思いますが、黒の太文字の部分は根拠が無いと感じます。
また、前提があればとか、配慮できればという、仮の話ばかりになっています😓
赤文字の部分は、過去の蓄積から、根拠のある話だと思われますが、
私には、家族以外の人々に見守られながら触れ合ったり一緒に遊んだりすることが、0-2歳児のメリットになるとは、あまり思えません。
他児と交わることに大きな意義があるとか、十分に効果が期待されるとか、本当に発達を理解している保育の専門家の意見なのでしょうか?!
私はこの制度のメリットは、孤独に家庭養育をされている保護者のレスパイトにあると思っています!
0-2歳児という時期は、まだ特定の大人との関係性で、応答的に関わられ、その安心感の中で成長発達していく時期ですし、知らない他者との出会いに対しては、まだ不安や緊張がある時期です。
保育者が特定の大人になるには、月10時間ではなかなか難しいことでしょうし、時期的にも0-2歳児には、基本的には難しいということだと思います。しかも、国はメリットと考えている、他児との関係性も複数ありながら、、ですしね。
おそらく、月10時間という根拠はチラッと書かれていますが『提供体制の確保が出来そうな、最低限の時間を考えた』ということでしかないのでしょうね。
私の想像ですが、それは、現状の保育所の空きの状況を考慮したのかも?!しれません。
保育体制を変えず、どのくらい受け入れられそうなのかというね。
あとは、資料でも触れられていますが、自治体間の格差が大きくならないためということもあったでしょう。
私が一番重要と考える、職員の配置については、現行の一時預かりと同じということですが、意見としては、
となっていて、小さく触れる程度になっていて、しかも先送りにされています。
この職員の配置については、もっと優先順位を上げて、議論すべきではないでしょうか。
私はたとえ一人専任者を置いたとしても、あちこちに子どもが居たり、準備や事務作業など含めると、担当の方1人に丸投げされると、結構多忙になるのではないかと思ったりしますが、、
職員の配置と共に大事な、実施方法としましては、これまでの検討会でも挙げられていましたが、
〇 事業者の実施体制や特長などを踏まえ、一般型、余裕活用型といった方法が考えられる。
実施方法についても、実施する事業者による創意工夫など、多様な実践のかたちがあることが望ましく、試行的事業において好事例の収集と横展開が図られると良い。
〇 利用方法(定期利用、自由利用)や実施方法(一般型(在園児と合同、または、専用室独立実施型)、余裕活用型)の組み合わせ方について、以下の6通りが考えられる。
せっかく試行的事業をしているのだから、どのような保育体制で、また保育環境で実施され、休憩や残業、有給の取得など、保育士の働き方も細かく分析し、保育内容やもしあれば、ヒヤリハットや事故の状況も十分に検討して、本格実施に向かわないといけないと思います。
障害のある子どもの利用については、
① 児童発達支援事業所の人員配置基準と、こども誰でも通園制度の想定している人員配置基準の両者をそれぞれ満たした職員配置とすることを前提とすれば、余裕活用型・一般型いずれであっても実施可能か。
② インクルーシブの観点から、既に保育所等と児童発達支援事業所の間で認めているように、人員の交流や設備の共用は認めていくべきではないか。
③ なお、児童発達支援センター等において、こども誰でも通園制度を実施するに当たっては、地域における児童発達支援のニーズや資源の状況等も踏まえながら、障害児の支援に支障がないように留意して実施することが必要である。
一方で、こども誰でも通園制度において、居宅訪問型の事業形態を含めることについては、①「家庭とは異なる経験や、地域に初めて出て行って家族以外の人と関わる機会が得られる」「こどもに対する関わりや遊びなどについて専門的な理解を持つ人がいる場で、同じ年頃のこども達が触れ合いながら、家庭にいるだけでは得られない様々な経験を通じて成長できる」といった制度の意義との関係で、居宅での支援をどう位置づけることができるか、②障害児に対する支援として既に給付の対象となっている居宅訪問型児童発達支援や障害児居宅介護といった既存事業との関係がどのように整理できるのか、③現行の一時預かり事業の中では「居宅訪問型」の類型を設けており引き続き一時預かり事業の中で実施することは可能であること、等を踏まえた上で、十分な検討が必要である。
障害のある子どもの特徴からして、知らない場所へ時々行くということ自体、ハードルが高かったりします。指摘されているように、外出自体に難しさがある子どもも居ます。
なのに、これも定型発達の子どもと同様、
もしそれが本当なら、根拠を示してほしい!です。
様々な困難さを抱えている子どもとわかっているにも拘らず、居宅訪問型の事業形態をしないというのは、どういうことなのでしょうか?!
それほど意義があるとは思えないことのために、通園での支援しか受けられないというのは、どうなのかなって。
それなら、ご家庭で困っていても、この制度を利用することを見送られる保護者の方も居るのではないでしょうか。そうなりますと、虐待など、様々なリスクが発生する可能性があります。
インクルーシブについても、それを実践するには、それなりの療育や特別支援の経験や知識が必要で、相次ぐ離脱で、中堅保育士がゴッソリいない今の保育現場では、かなり不安があると言わざるを得ないかなと思います。
児童発達支援事業所や支援センターと保育所の人材交流が出来るといってもそれは理想ですが、それぞれの業務で精一杯ですので、もし行うなら、負担の軽減が先ではないでしょうか。
業務を増やせば解決するというのは、先ほども申しましたが、保育者の健康や気持ちを無視した、とても不親切な手法だと思います。
Ⅲ その他の留意点等
最後に、その他の留意点等ということで、
個人情報の取り扱いが新たに加わっています。
そして、要支援家庭などの項目が続きます。
その他の留意点で、私が特に気になるのは、以下の自治体に向けたところです。
〇 市町村は、将来的な給付化も見据え、地域における預かりの提供可能量を把握した上で、計画的な提供体制の整備を行っていただく必要がある。
〇 具体的には、各市町村において、0歳6か月~2歳の保育所等に通っていないこどもの数から、受け入れに必要な定員数を算出し、必要整備量の見込みの把握を行っていただく必要がある。
また、各市町村において、保育所、認定こども園、幼稚園、地域型保育事業所、地域子育て支援拠点事業所等でこども誰でも通園制度を実施することを想定し、地域でどのように提供体制を整備していくのか検討を開始いただく必要がある。
〇 その上で、きめ細かなニーズに対応できるよう、現行の子育て支援事業や一時預かり事業、市町村独自のこどもの預かりに関する事業との関係など、地域の実情を踏まえた各事業の展開を行う必要がある。
要するに、地域にはどのくらいのニーズがあり、それに対してどのくらい対応できるのかを把握しておいてねということですね。
丸投げ感が凄いですが、国として、このくらいのレベルの保育の質は保障してねとかないのでしょうか。
そういう、理念みたいなものがないのが、ここ数十年の保育政策ではないでしょうか。
とにかく、枠を用意しろ!という感じに思えます。
こういう、新たな業務の負荷に対する、保障は当然ないのでしょうね。。
保育士と同じく。
とにかく、~する必要がある!って、地方に対しては、一貫して上から目線の指示命令という感じがします。
〈こどものみかたサイト紹介〉
まとめ
いかがだったでしょうか。
私は今回の検討会も、前回同様、あまり安心材料がないように思えました。
前回の記事でも書きましたが、
※しかし、余裕活用型という言い方、どうにかならないものか、、
私が期待した、過重な負担による保育士の健康への影響や労働者としての権利の侵害については、全く触れられていませんでした。
もし、本当に保育所に余裕があるなら、私が記事にする必要なんか全然ないと思うのですが。。
〈保育現場に働き方改革は必要ないか?!〉
〈追記〉
この検討会に参加されている方で、正直に保育現場の現状を訴えている方がおられました。
この方の意見は貴重で、次回の第4回の検討会に反映されるべきでしょう!
子どもや保育士、保護者の方を守るため、今後もこども誰でも通園制度検討会に注目していきたいと思います。
最後まで【保育のニュース】11月8日の第3回こども誰でも通園制度検討会の詳細についてをお読みいただき、誠にありがとうございました☺
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