保育士のために

【保育のねらい(食育)】乳幼児期の完食の指導は必要か?

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食事 保育士のために

こんにちは☺

 

いつも子どものみかたブログをお読みいただきまして、誠にありがとうございます☺

 

私が関わって支援していた子どもでも、保育所や幼稚園での昼食やおやつがネックになっている子どもが、毎年2,3人は居たりしました。

 

昼食が原因で登園を渋る子どもも居ました😓

 

完食出来ないことよりも、子どもが元気に登園出来る方が、よほど重要だと思うのですが。。

 

保護者の方からのご相談を受けることも多かったのですが、本来幼児期の昼食はどうあるべきなのか、を私なりに発達の観点から考えてみました☺

 

 

食べるために必要な機能

人が食べ物を食べる際に必要な能力といいますと、何が考えられますでしょうか?

 

まずは食べ物を噛む力、咀嚼の力が必要ですね!

そして、それを飲み込む、嚥下の力も必要です。

 

また、それらを十分に消化するためには、内臓器官の発達も必要です。

 

それらの前提としまして、美味しく感じるまたは自分にとって害ではない!と感じる、味覚や臭覚感覚器官も必要です。

 

また、授乳時期を経て、食べさせてもらう→一人で自分で食べる→みんなと一緒に食べると、子どもの側から見た食べ方と共に、社会性にも変化があります。

 

 

食機能の発達過程

食べる行動のきっかけになりそうですので、まずは味覚の発達について考えたいと思います。

 

味覚の発達

舌で味覚を感じる感覚機能を味蕾(みらい)といいます。

 

味蕾の数は誕生時が一番多くて、おおよそ1万個と言われています。

 

これは、命を守るため危険なものを食べない!という、生まれながらの防衛機能ともいうべきものです。

 

ですので、赤ちゃんや幼児は、大人よりも苦味や酸味を元々受け付けにくい性質があります。

 

なので、大人よりも食べにくく感じるものが多いのはある意味当然です。

 

そして乳幼児から感受性が強く、子どもが好む味覚は、甘味と旨味です。

 

甘味と出汁などの旨味を活かした食材を選ぶことが大切になります。それらを活かしてバランスよく用意することが大切ではないでしょうか。

 

食べ物の偏食が強く出るのは、5歳ごろと言われたりもします。その後10歳ごろに好みの味覚が定着していきます。

ですので、『年長になったのだから!』と無理に食べさせるのは、発達的には無理をさせてしまう可能性があります。

 

また、幼児期から味の濃いものを食べていると、味覚が鈍くなってしまいますので、基本薄味にしておく方がいいと言われています。

 

注意! 味覚が過敏な子どもも居て、特定の食材しか受け付けない子どもも居ますので、注意が必要です。そのような子どもは、元気で栄養が足りていたら、無理をしないことがとても重要です。味覚が過敏な子どもが無理をしてしまいますと、自分にとって危険と感じている物を食べさせられるという、警戒心がとても強くなってしまい、食事場面を嫌がったり、ついには登園拒否に繋がることもあります。また、そのような過敏な子どもの中には食器や水筒などもよく洗っていても、自分以外のものは使用出来ない子どもも居ます。

 

臭覚の発達

臭覚は生まれながらにして大人と同じレベルにあると言われています。

 

それは味覚と同じく、自分を守るためだと考えられます。

 

自分にとって害のある物を食べない、また母乳を探し、区別するためでもあると考えられます。

 

ですので、母親と違う匂いにも敏感ですので、母親以外に抱っこされることを嫌がる原因になります😓

まだ防衛本能で生きようとしているためで、体を共有してきた母親以外の他者を受け入れるための社会性も育っていませんので、赤ちゃんに抱っこを嫌がられてもショックを受ける必要はないかも?!しれませんね☺

〈参考〉

赤ちゃん・新生児の臭覚はいつから発達?

赤ちゃん・新生児の嗅覚はいつから発達?においを区別できる? - こそだてハック
赤ちゃんの嗅覚は、生まれた時点では大人と同じくらい鋭いといわれているのをご存じですか?生後3ヶ月くらいまでの赤ちゃんは視覚が未成熟で目がよく見えないにも関わらず

 

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咀嚼の発達

咀嚼(そしゃく)の力を歯が生えて噛むという面からみてみますと、

 

上下顎切歯(じょうげがくせっし)の現れ(1歳前後)

食べ方としましては、手づかみ食べが出てきます。目、手、口をどのように協調させれば適切なのか、繰り返し練習を行い、同時に前歯の使い方を覚え、適切な一口量を学習する時期です。また、口唇と舌の動きが分離され、舌で食物を押しつぶすことが出来るようになります。

 

上下顎切歯+上下顎第一乳臼歯(だいいちにゅうきゅうし)の現れ(1歳8か月頃)

第一乳臼歯の現れにより、奥歯を使った噛む動きが出てきます。噛み潰しの動きが主体であり、すりつぶしはできないです。

 

乳歯列咬合(こうごう)完成(2歳9か月頃)

咬み合わせが出来る乳歯列完成期であり、食べ物のすりつぶしが出来るようになり、とても硬いものはまだ難しいですが、ほとんどの食品が食べられるようになります。

 

嚥下の発達

3,4か月になりますと、哺乳に関する原始反射が弱まります。舌をあまり出さなくなり、周囲の食事の光景を見て興味を示します(食べたそうにしたり☺)。首が座り、ヘッドコントロールがきくようになります。顎や歯槽骨(しそうこつ)が発達し、口腔内容積が広がります。消化器官が発達します。

 

5,6か月になりますと、舌が前後に動くようになり、口にためて舌で奥に食べ物を送り飲み込めるようになります。はじめは抱っこしてあげると安心します。ごっくんと飲むことを覚えます。

 

内臓器官の発達

各内臓器官の発達も、幼児期の食に影響します。

 

…新生児は胃の入口の括約筋が弱く、しばらくの間は吐きやすいです。 1歳になり、ようやく食べ物を受け入れる力がついてきて、200ccから250cc程度になります。3歳になり、とっくり型だったのが、大人と同じ形になってきます。5歳で650cc程度になります。(大人は1200ccから1600cc)

唾液…3か月で糖質消化酵素分泌がよくなります。6か月になり、飲み込みやすくなります。1歳で大人の10分の1の分泌量になります。

小腸…7か月でたんぱく質、脂肪の消化酵素が多くなる。

胆汁…1歳で分泌が良くなり、脂肪の消化がしやすくなる。

すい臓…2歳で糖質の消化酵素は大人の70%になる。3歳でたんぱく質と脂肪の消化酵素が大人並みになる。4歳で糖質の消化酵素が大人並みになる。

 

食べ物の量や種類を適切に増やすことで、消化酵素の分泌がよくなります。

 

小腸大腸の長さ…4mから1歳で5mになります(成人9m)。

 

※アレルギーについて…まだたんぱく質の消化がわるいので、体質によってはアレルギー反応をおこしやすいです。(卵・牛乳・大豆など) 一部の子どもを除いては、3歳になってから、食物アレルギーが改善していきます。

 

これらを見ますと、1歳までは内臓器官が発達していく途中ですので、吐いたり消化しにくさがあっても、当然だと思われます。また、糖質に関しては、4歳になってから消化酵素が大人並みになるということで、発達がたんぱく質や脂肪の消化機能に比べると、やや遅めだと言えます。

 

(参考:発達に合った食のすすめ方

食べ方の発達

子どもの食べ方の変化から、食事支援(保育のねらい)をまとめました。

 

〈離乳食の始め方〉

5,6か月頃 一日一回ひとさじずつ 母乳、ミルクは飲みたいだけ与える 口の前から奥の嚥下反射が出る位置まで、少しずつ移動できるように少し後ろに傾ける
7,8か月頃 一日二回食で、食事にリズムをつける 経験を積めるように食品の種類を増やしていく 下唇に乗せ、上唇が閉じるのを待つ 舌と上あごでつぶしていく動きを出す
9か月から11か月 一日三回食 ご家庭では家族一緒に楽しい食卓に やわらかいものを前歯でかじり取らせる 歯茎の上でつぶすことを覚える
12か月から18か月 一日三回食のリズムと生活リズムを大切に 自分で食べる楽しみを手づかみ食べから経験する 一口量を覚える 手づかみ食べが上手になりながら、食具を使った食べ方を覚える 1歳半頃から食べ物とそれ以外の区別がつくようになる 食べ物で遊ぶことを減らしていける

 

〈手づかみ食べ〉

手づかみ食べは複数の動作を同時にする、協調動作を経験したい時期にとても大切な食べ方です。目や手で形や温度を確かめ、自分の口の位置に持っていきます。また、まだ食べ物とそれ以外の区別が難しいので、おもちゃや指をなめたりします。

 

 

自分の力で、自分のタイミングで、自分で選ぶことで、食べる意欲にしたいです。

 

汚れてもいい環境手づかみ食べがしやすいものがポイントになります☺

 

〈食具〉

18か月頃になりますと、遊びでは道具を使えるようになります。食事場面でも口唇を使って口の中に運ぶため、フォークよりもスプーンを主に使いたいです。

 

1歳前後 上下顎切歯が生えたら、かじり取れることから一口量を学習出来るようになります。

1歳8か月前後 上下顎切歯+上下顎第一乳臼歯が生えたら、奥歯を使って嚙み切れるやや硬めの食材を噛みつぶすことが出来るようになります。

2歳9か月頃 乳歯列咬合完成し、摂食機能としては一応完成しますが、嚙む力は大人よりはまだ弱いです。

 

〈一人食べと食による社会性〉

3歳頃 友達と一緒に食べる楽しさを味わう 友達を真似て食べる 食に関して自分で経験を広げたいと思う
4歳頃 仲間と感じる友達と一緒に食べる喜びを味わう 時にはふざけながら、友達と同じものを食べる嬉しさを味わう
5歳頃 友達の様子を見ながら、やり取りをして楽しく食べる 友達が普段と違っていたり、体調が悪そうだったら、気遣いが出来る 行儀よく落ち着いて食べることが出来る 共同が出来るようになることから、お当番活動が無理なく意欲的に出来る

 

食具の使い方や袋の開け方も少しずつ上手になっていきますので、保育のねらいにできると思います☺

また、4歳頃からは食べ物に関して困ったら、保育士に上手く言葉で訴えることが出来るということも大切な保育のねらいだと思います。

 

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まとめ

いかがだったでしょうか?

 

様々な食に関する発達を見てきましたが、

 

これらの食に関する機能の発達からみて、私が思う、乳幼児期の食に関する保育のねらいは、

まずは、

 

食事が楽しく、ポジティブな場面であること!

 

これに尽きると思います!

 

食べることは、今後も一生続きますので、自分にとって苦痛であるとこの後の人生にも深く影響してしまいます。

 

逆に、食べることがポジティブで良いイメージだと、今後の人生も豊かになりますし、人とコミュニケーションを深めたり広げたりすることにとても役に立つのではないでしょうか。

 

大人目線だとどうしても偏食が気になり、食を広げたい!と思うものだと思いますが、例えば3歳になりますと、視野が広がり人の真似をすることが上手になります。ですので、周囲が楽しく美味しそうに食べるということが、とても重要な保育になります。

 

その中で、苦手だった食べ物に自ら興味を持ったり、挑戦しようと自ら思うようになるということが大切だと思います。

 

そして、

食にあまり興味が持てず、小食の子どもも中には居ます。そんな子どもが『いらない』『残す』という選択が出来るということも、子どもの主体性を大切にすることだと思います。

 

あまりに、いろんなものをたくさん食べることが正しいこと!と、子どもに要求しすぎますと、食べられない子どもの自信や意欲が低下して、食事以外のことまで影響する可能性がありますので、注意が必要です。

 

あとは、ゆっくり食べる子どもに対しても、食べるための時間は、一定時間保障してあげたいですね!

 

最終的には『残す』のも『食べてみる』のも子ども次第!ということが大切だと思います☺

 

体も日々成長し、食事の変化も大きいですので、保護者の方から食事の様子をお聞きすることも、大切になります。

 

子どもによっては、園では頑張って食べていて、ご家庭では偏食になるということがあります。それも園ではとても頑張っているんだということがわかり、支援の視点が変わると思います。

 

お誕生日会やキャンプ、パーティや外食などになると、苦手だったのに初めて食べられた!ということをよくお聞きますし、食べることと情緒の安定はとても密接に関連していると思いますので、情操教育や豊かな心の発達のためにも、保育士として出来ることは、いつも楽しい食事場面を演出することだと思います☺

 

コロナの影響でアクリル板で間仕切りをしたり、黙食をしないといけなかったりで、本来楽しく食事をすることで身についていた、食や社会性の発達の影響が心配されます。

 

 

〈参考〉

こちらのサイトがとても参考になりました☺

乳幼児の咀嚼機能発達支援マニュアル

 

子どもの口腔機能の向上について

 

 

〈まとめ動画〉

 

 

ここまで【保育のねらい(食育)】乳幼児期の完食の指導は必要か?、をお読みいただき誠にありがとうございました。

もしご意見ご感想などございましたら、コメントから頂けますととても嬉しいです!

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