各自治体や保育所の努力で保育士の配置を増やしている所もありますが、
あらためて国が定める保育士配置基準を確認していきたいと思います。
保育士配置基準
新人保育士の方は勉強されたばかりかもしれませんが、
児童福祉施設最低基準での保育所の場合、国の決まりでは、
保育士は、
でいいとなっています。
1人って、ワンオペ?!汗
一つ一つ、発達に基づいた保育が出来るのかまた、子育て支援や、保育の準備、片付けなど直接支援以外の仕事が出来るのかを検証する必要がありそうですが、
保育所の理想の体制を考える
それは一旦横に置くとしまして、
むしろ本当はそっちの問題を取り上げたいのですが、その前提に問題がありそうで、、😨
子どもの安全と保育士の健康、保育士の管理の視点で見ていこうと思います。
子どもの安全について
0歳児3人に1人の保育士
何もなければ保育は可能かなと思います
何もなければ、、
行動範囲も狭く、動きもゆっくり目なので、パーテーションなど周囲の安全確保の工夫は必要ですが、同時にみることは何度も言いますが、何もなければ可能かなと思います。
それでも、1人でということになりますと、余裕のある保育にはならないと思いますし、1人がおトイレ関係の支援やお着換え、けがをしそうになったら、あとの2人は放置ということになります。
なので、安全面をより完全にするためには、もう一人、大人の手が必要だと思います。
※発達的には泣いたり何かあったらすぐに対応するという、即時性が大切ですが、それは叶いません。
1,2歳児6人に1人の保育士
続きまして1,2歳児ですが、
子ども6人に1人の保育士ということですが、
これはとても不安があります。
歩けるようになってきますので、2歳児は行動範囲が広がります。
例えば、
1人の子どもが少し離れたところにテクテク歩いていくと、その時点で6人の安全を確保できなくなります。保育士は1人なので、単純に1人か残りの5人につくかを選ばないといけなくなりますので。
行動を制限して、狭い部屋にしたらどうなるのかというと、子ども同士の距離が近くなりますので、それもまたトラブルの原因になります。
また、子どもにとっては行動範囲が広がることで、興味や関心も広げていきますし、運動能力も上がっていきます。
なので、1,2歳児は1人の保育士では6人の子どもを完全に安全を確保するのがとても難しいということになります。
3歳児20人に1人の保育士
そして3歳児。
いきなり20人に1人の保育士でいいということになっています。
どういう根拠に基づいているのでしょうか、気になるところです。
これは全く2歳児と同じ理由で、完全に安全は確保出来ません。
毎日、運を天に任せる!といった感じです😨
発達の観点からもいろいろ言えそうですが、ここでは長くなるのでやめておきます苦笑
4歳児以上30人に1人の保育士
そして4歳児以上。
子ども30人に対して1人の保育士でいいということになっています。
ここでも2歳児と同じ問題がありますが、プラス4歳児と5歳児は大きく違うということがあらたに問題になってきます。
4歳児は成長発達の変化が大きく、大きな発達の課題もいくつかあり、個別の支援が必要な姿が見られます。
5歳児は比較的落ち着いた姿になっていきます。特に後半ですが。
でも、全員5歳児だとしても1人こけて軽い怪我などして手当をしていたり、何かしらのトラブルが起きたら、あとの29人は放置することになります。
以上の理由で、今の保育士の体制の最低基準では、子どもの安全を確保するのが難しいということが言えると思います。
保育士の健康の観点から
各年齢の子どもたちを1人でみるということは、
保育士の身に何かあったら、どうしようもなくなるということになります。
例えば、
『おトイレに行きたい!』となった時、
子どもを全員放置するということになります。
なので、保育士は我慢をします。
私もしてきました。
そのことで、体調を崩したり、実際に膀胱炎になったりする保育士が出てきます。
また、トイレ以外にも急に体調が悪くなることは普通に起きます。
そして、子どもたちは給食などの昼食をとりますが、保育士はその間も保育をしないといけませんので、昼食を取ることが不可能です。
いかんせん、1人なので汗
子どもが昼食を食べる場面は、重要な保育の時間にもなります。食べ方の支援もありますし、食べることに興味を持ってもらうとか楽しく食べるために気を配ります。
ここでたまに子どもと一緒に食べればいいじゃん!という方が居ますが、子どもの食事を支援しながらはとても難しいのです。
さっさと詰め込むように食べること自体も、体を壊しそうですし。
そしてこれも言っておかないといけませんが、子どもと食事を取ったからといって、その間は休憩時間に入れないでほしいと思います。
保育士の健康の観点から、
保育士の管理
今の保育士の体制の基準では、
保育士の管理の点でも問題があります。
例えば、
保育士による虐待を防ぐには
子どもは見ていますが、不適切だと気付くことも難しいですし、状況を正しく説明することも難しい場合が多いでしょう。
保育はどの場面においても、複数でお互いを監視することも大切です。
保育士同士は信頼関係があるのは大前提なんですが、出来るだけ問題が起きないようにするためでもあります。
誰も見ていないとなると、緊張感も維持できなくなったり、不適切な保育に自分自身が気づかないことにもなります。
これらの点から、
延長保育の定着など保育士の負担と離職が問題となっていて、国が問題と把握されているなら、今の最低基準の改正と今働いている保育士をもっと大切にしてほしいって思っています。
保育士の負担軽減、離職防止政策→国の保育補助者雇上強化事業
小手先の出来るだけお金をかけない方法を探るみたいな感じで、延長保育をつぎはぎのように時短労働者に頼ったりという、結局保育士にも子どもにとっても、あまりよくない制度じゃないかなって思います。
そして、子どもにとって延長保育は心身の負担が大きく、子どもの福祉というよりも、社会を回すための制度と言えるのではないでしょうか。
時短で働ける方が、働き方としては合っている方もいらっしゃると思いますが、それはプラスアルファで、より細やかな行き届いた保育を目指す園がそのような形で雇用できるといいんじゃないかなと思います。
保育所によって違いがあって、自治体の制度にも左右されるところが大きいのですが、
例えば、
障害のある子ども2人に1人の加配保育士をおくということがあります。
子ども1人に対して1人の加配保育士ということもありますが、とても稀な自治体です。
また、障害のある子どものための加配といっても、常についているというわけでもないこともあります。
私が担当したケースですが、
『今まではついてもらっていたのですが、他の子も同時にみるようになりました』とか、
『今ではあまりついてもらわなくなっています』
など、保育所の事情によって加配保育士の使われ方は変わっていると思います。
子どもの成長発達など、子どもの利益を考えてのことならいいのですが、やむを得ずという場合はどうなのかなって思ったり。。
また、加配保育士は保護者の同意も必要ですので、同意が得られないと配置することは出来ません。
もし本当に加配が必要で保護者からの同意を得られない場合は、
そのためにはより深い相談支援が出来る、子育て支援を専門にする役職が必要だと思います。
今、子育て支援のニーズがとても高まっていますので、子育て支援用に新たな資格を作る動きもあるようですね。
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000851569.pdf
いずれにしても保育は準備と片付けをしながら行っていますし、そのためにも最低でも複数体制は必須でしょうし、一つのグループが20人、30人が適正なのかも考え直さないといけないと思います。
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