こんにちは。
「子どものみかたブログ」にお越しくださり、ありがとうございます。
2025年7月、京都府宇治市で、保育士による虐待があったというニュースがありました。
昨年も別の地域で同じような出来事があり、心が痛みます。
こうした出来事を目にすると、「これは特別な園で起きたこと?」と思いたくなりますが、
実は、どこの園でも、状況によっては起こりうる可能性がある問題なのかもしれません。
私自身、子どもに関わる仕事をしてきた者として、「他人事ではないな」とあらためて感じました。
もう一度、虐待ってなんだろう?
保育士になったとき、一度は勉強した「虐待の種類」ですが、
現場にいると忘れてしまいがちです。
今一度、一緒に振り返ってみませんか?
虐待の4つの種類
種類 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
身体的虐待 | 子どもの体に傷つくような行為をする | 平手打ち、無理に食べさせる、つねる、押さえつける など |
心理的虐待 | 子どもの心を傷つける対応や言葉 | 怒鳴る、侮辱する、無視する、脅す、仲間外れにする など |
性的虐待 | 子どもに対して不適切な性的言動をする | 裸の写真を撮る、性的な話をする、わいせつな映像を見せる など |
ネグレクト | 必要なケアや関わりをしない | 食事や排せつの介助をしない、長時間放置する など |
「これはちょっと厳しい言い方だったかも…」
そんな日常の小さなことが、子どもにとっては大きな負担になっているかもしれません。
「虐待かどうか」は、子どもがどう感じたかより“事実”が大切
まだ言葉が出ない子や、うまく気持ちを伝えられない子もいます。
だからこそ、「本人が嫌がっていたかどうか」だけでなく、
起きた事実をどう捉えるかが大事になります。
虐待が起こる背景には、スキル不足だけではない課題も
「悪気はなかったけれど、つい声を荒げてしまった」
「どう接していいかわからなくて…」
そういう時、誰にでもありますよね。
でも、それを放っておくと、虐待につながってしまう可能性もあると思うんです。
大切なのは、保育士個人の問題だけにせず、周囲がサポートできる体制があること。
そのためには、
-
保育の考え方(保育観)を定期的に見直すこと
-
困った時に相談できる場があること
-
園長や主任が子どもへの関わりの理想を語ること
こうした「現場の風通し」がとても大事なんだと感じています。
ベテランでも油断は禁物?保育士の高齢化と“保育の硬直化”
今、一部の地域では保育士の高齢化が進んでいます。
経験が豊富なことはもちろん心強いのですが、一方で、
「昔はこれが当たり前だった」
「子どもは叱らないとわからないもの」
という考えが変わりにくい場面もあるかもしれません。
今の保育では、「子どもを一人の人間として尊重すること」が大前提。
“しつけ”と“虐待”の境界を意識することが、ますます求められているように思います。
しつけや教育のつもりだったは通用しない時代になりました。
行政や園の責任者にできること
保育現場の責任は、保育士個人だけでなく、園全体・そして当然行政にもあります。
- 園長が「こういう保育がしたい!」という想いを持ち続けているか
- 定期的な振り返りや学び合いの時間があるか
- 何かあったときに、誰かが気づいて声をかけられる職場か
こうした日々の積み重ねが、安心できる園づくりにつながっていくのではないでしょうか。
参考
保育士はなぜ不適切な保育をしてしまうのか?!

自分の保育、大丈夫かな?まずはセルフチェックから
保育の忙しい日常の中では、自分の関わりを振り返る時間もなかなか取れません。
でも、ふとしたときに「ちょっと言いすぎたかな」と思える気持ちは、とても大切です。
→ 記事の最後にセルフチェックリストを載せています。ぜひ活用してみてくださいね。
子どもを“上から”見ていないかな?
呼び捨て、あだ名、ため口、威圧的な声かけ……。
保育現場で当たり前になっていることが、実は「力関係」を表してしまっていることも。
子どもは確かに未熟な部分もあるけれど、
一人ひとりが人格を持った「人間」であることを、日々の関わりの中で忘れたくないなと思います。
未熟=子どもとも言えますが、それ自体が伸びしろでもあるという見方が必要なのかもしれません。
まとめ|保育観の更新が、虐待を防ぐ力になる
- 虐待は「どこにでも起こりうる」可能性があるという前提に立とう
- 保育観のアップデートや、日々の振り返りが防止につながる
- 大声や威圧感以外の子どもの導き方を身につける(子どもの興味関心やわかりやすい説得、説明などを使う)
- 子どもを尊重する意識が、自然と保育を変えていくベースになる
「虐待をなくす」というのは大きなテーマですが、
できることから、一緒に変えていけたらと思います。
〈参考〉虐待防止チェックリスト
(施設利用者の権利擁護・虐待防止研修から)
※虐待防止チェックリスト (よくある 時々ある たまにある ない 4段階)
1,体罰など
①殴る、蹴るその他怪我をさせる行為をしたことがある
②身体的拘束、長時間正座、直立など身体的苦痛を与えたことがある
③食事、おやつを抜くなど人間の基本的欲求に関わる罰を与えたことがある
④他の職員の体罰を容認したことがある
2,差別
①子ども扱いする、年齢にふさわしくない接し方をしたことがある
②能力、性、年齢、状態などで差別をしたことがある
③本人の個性である部分を責めたことがある
④話し言葉やしぐさなどを真似たことがある
⑤子どもの行動を笑ったり、行為を興味本位で接したことがある
3,プライバシーの侵害
①個人情報を他に漏らしたことがある
②同意を得ず、所持品を確認したことがある
③男性職員が女児の衣服の着脱、排せつなどの支援をしたことがある
④女性職員が男児の衣服の着脱、排せつなどの支援をしたことがある
⑤本人やご家族の了解を得ずに、本人の写真や制作した作品を展示したことがある
4,子どもの人格無視
①呼び捨て、あだ名、幼い子どもの呼称で呼んだことがある
②威圧的な態度や命令口調で話したことがある
③子どもの訴えに対して無視や拒否をするような行為をしたことがある
④長時間待たせたり、放置したりしたことがある
⑤職員自らの判断で薬物を使用したことがある
5,強要制限
①わいせつな発言や行為をしたことがある
②高すぎるハードルを課したことがある
③嫌悪感を抱くようなことを強要したことがある
④家族、友人などへの連絡を制限したことがある
※添付資料ダウンロード
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
みなさんのご感想やご意見など、コメント欄からぜひお寄せくださいね。
参考
過去の不適切な保育に関する調査を活かすには

保育所保育指針と保育士配置基準に整合性はある?!

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